fc2ブログ

チョン・イル日本ファンカフェ『ILWOOSTORY Japan』

チョン・イル君の日本ファンカフェです!韓国公式カフェ「ILWOOSTORY」承認のもと活動中!

02*  12345678910111213141516171819202122232425262728293031     *04 

【レビュー】太陽を抱く月 第2話

2013.01.28 Mon | 編集

太陽を抱いた月 第2話■太陽を抱く月 第2話 ”二つの月と一つの太陽”

■登場人物:イ・フォン(ヨ・ジング)/ヤンミョン(イ・ミンホ)/ホ・ヨヌ(キム・ユジョン)/
ホ・ヨム(イム・シワン)/ホ・ヨンジェ(ソヌ・ジェドク)/シン氏(ヤン・ミギョン)/
ウン(イ・ウォングン)/ソル(ユン・スンア)/国巫チャン氏ノギョン(チョン・ミソン)/
成祖大王(アン・ネサン)/ミナ王女(チン・ジヒ)/中殿ハン氏(キム・ソンギョン)/
禧嬪パク氏(キム・イェリョン)/ヒョンソン(チョン・ウンピョ)/
大王大妃ユン氏(キム・ヨンエ)/ユン・デヒョン(キム・ウンス)/
ボギョン(キム・ソヒョン)

*MBC公式サイトの台本を元に作成しております。
*画像はクリックで大きくなります。
*動画はこちらでご紹介しています^^


レビュー作成:2012/2/01 


追記(2013/1/28)→ NHK BSプレミアム(カット版)をご覧の皆様へ
カットシーンを青字にしてますので参考にして頂ければ幸いです^^
                    関連タグ:レビュー 太陽を抱く月       

東宮殿。
空から紅色の日傘が降って来た。
ヒョンソンは驚いて叫ぶ。「か、怪物だ!」
目の前に落ちた日傘を手に取るフォン。
「まさか、また会えるということか?」


ホ・ヨンンジェ邸。
何かの気配におびえ辺りを見回すヨヌだが、誰もいない。
ヨヌ「まさか…刺客とか送ってないわよね?」

ふと見ると、塀の上に石が置かれている。
ゆっくり近付き手に取ってみると、"解憂石"と書かれていて、
その下には一枚の手紙が置かれていた!
ヨヌ「解…憂…石?」

手紙を読んでみると…ヤンミョンの仕業だった。

ヤンミョン「眠れないほど何を悩んでいるのだ?この石に悩みを言ってみなさい。
これは解憂石という石で、心配事を解決してくれる石だ。
この石が君の悩みを持って行き、解決策を持って来るから、
もうそれ位にしてゆっくり寝なさい。僕の旅の土産だ。」

ヨヌ「また行って来たの?この方は本当に…あんなに分かるように申し上げたのに!」


ホ・ヨンジェ邸 庭。
撃剣修練をしているヨムとウン。
ウンの明快な剣術に比べてヨムは、かろうじて相手をしているレベルだ。
そんな二人をソルが物陰から覗いている。
ソルの気配に一瞬油断したウンの隙に食い込むヨム!
素早く回避してヨムの腰を突いたウン!
結局、手から刃を弾かれてしまうヨム。

ヨム「やはりジェウン、君の手並みは凄いな。
僕には剣術の素質はないようだ。何年修練してもこの程度だから。」

ウン「大丈夫ですか?お坊ちゃま。」

ヨム「そのお坊ちゃまという呼び方、もうやめてくれよ。何度も言ってるのに君も頑固だなぁ。
それにしてもヤンミョン君遅いな。約束の時刻、もう半刻過ぎたのに。」

その時、ヨムの後ろの塀を越えて入って来たヤンミョン。
ウンは気付くが、ヨムは気付かない。

ヨム「ヤンミョン君がいらっしゃるときは、この庭がいつも沸きかえるが
君と僕の2人だ何となくさびしいな…」

その時、後ろから声がした。
ヤンミョン「君が僕をそんなにも恋しがってると知っていたら」

ヨムは振り返る。
ヤンミョン「旅なんかさっさとやめて帰って来たのになぁ。」
ヨム「ヤンミョン君!」
ヤンミョン「僕の恋人、ホ・ヨム!首席合格おめでとう!」
ハグするヨムとヤンミョン。
そして、キム・ジェウンにも飛び付こうとするが、さっと身を交わすウン。

ヤンミョン「かわいげのない友よ。ジェウン、君は半分だけおめでとう。」
ヨム「旅は楽しかったのですか?」
ヤンミョン「楽しかったさ。」

3人で肩を組みながら
ヤンミョン「愛する竹馬の友のために、貴重な豆腐を手に入れてきたから、月夜に語り合おうじゃないか!」


ヨムの部屋。
ヤンミョンが準備してきた豆腐料理を目の前に酒を酌み交わすヤンミョン、ヨム、ウン。

ヨム「約束の時刻を過ぎたので、旅が長引いたのかと思ってました。」
ヤンミョン「大切な人に会ってたら、ちょっと遅れてしまったな。」ヨムの手を握り
ヤンミョン「許してくれ。君よりも思いを寄せる人が出来たんだ。」
ヨム「恋人ができたのですか?今までそのようなお話は一度も、まさか、また…
離れの塀を越えたのではないですよね?」

ヤンミョン「何を言っておる。王族の身分で女の離れに忍び込むか?それに?
君がそんなにも大事にしてる妹の離れに、僕がどうして… 」

ヨム「妹はまだ幼いとはいえ、男と女は違うんです。
ましてやこの前は、妹に見つかって訓戒まで聞かされたじゃないですか?
威信を傷つけられたのにまたどうして…」

ヤンミョン「分かった分かった。よーく分かってるからその位で。君は実に、まっすぐな人間だな…
顔をちょっと見せてくれと言った時、一度だけ見せてくれてたら、そんなきまり悪いことはしなかったさ。
妹の話を持ち出すと、君の春の日差しのような顔が、一気に曇るんだから…」

ヨム「ヤンミョン君!」
そんな二人のやりとりに、微笑むウン。

ヤンミョン「おっ!君、今笑ったな?ヨム、君も見ただろ?
氷の塊のようなウンが笑うとは! 一生一代の事件だ!!」

ヨム「また今度、塀越えを試みたら、その時はもう見過ごしませんよ!」
ヤンミョン「分かったって。それより君達のために特別に準備してきた土産がある。」
そう言って、二人に石を渡す。

ヤンミョン「君達の官運を祈るお守りだ。別名、神秘の石だそうだ。
これを見る度に僕を思い出しながら、懐に抱いて通うんだぞ。」

ウン「抱いて通うのはちょっと重いですが…」
ヤンミョン「そうか?2号が大きすぎなら、4号をやろう!」
そう言って、さっきより小さい石をウンに渡す。

ヤンミョン「では、君達も今や…世子様側の人間になったということか?」
ヨム、ウンは複雑な表情。

ヤンミョン「うん?何だこの雰囲気は?さぁさぁ、官職に上がれば、
こうして意気投合する余裕もなくなるだろうから、今宵は楽しもうぞ!ん?ん?」
3人は乾杯し杯を交わすのであった。



便殿。
領議政「新たに選ばれた侍講官の候補者名簿です。」
成祖「これが三望か?」
領議政「はい。臣をはじめ、侍講院の師、傅、賓客が同席して点をつけ、
点数が最も多かった候補達でございます。」

この候補者達はすべて、ユン・デヒョン派の人間ばかりだ。
成祖はため息をつく。


フォンの部屋。
夕講のため衣冠を整えているフォン。ヒョンソンが急いで入って来た。
フォンは、新しい侍講官達が誰なのかヒョンソンに探らせていた。
名簿を手に入れたヒョンソンは、候補者名を読み上げるのだが、
フォンはすべてお見通しだった。

フォン「輔候補者、ユン・ソンチョル、ユン・デホ、キム・ギジュ。」
フォン「弼善候補者、パク・チホン、ユン・ピルヒョン、チョン・ミン。」
フォン「文學候補者、ユン・シワン、チェ・ビョンフン、チェ・チス。」
フォン「おばあ様の力だな。いや、実際に手を回したのはユン・デヒョン、あいつだろう。
で、調べてきたのは、それだけか?」

ヒョンソン「今日の夕講から新しい文學が進講するとの噂ですが、誰が来るのやら…」
フォン「フン!どいつもこいつも、皆権力の後ろ盾にあやかろうとする老いぼれどもだ。」
ヒョンソン「ではまさか…今回も全員、都落ちさせるおつもりで?」

フォン「まだ僕には、そんな権限ないさ。僕が出来ることはただひとつ。拒否権を行使するだけだ。
どれ、新しく赴任した文學がどれだけ耐えられるか、試してみようか。」

夕講へ向かうフォンの姿をみて女官達は、
新しい侍講官達がどのくらい持ちこたえられるのか、賭けをしている。
そこへ、向こうから官服を着た若い官僚が歩いてきた。
あまりの美しさにうっとりする女官達。



丕顯閣(世子の執務室)。
嫌そうな態度で座り、書物を見ているフォン。新しい文學のお出ましだ。

男「御命を受け文學を仰せつかった臣ホ・ヨム、世子様にご挨拶申し上げます。」

こちらをちらりとも見ないフォンに謙虚に二回お辞儀をする男。
フォンは顔を上げて驚いた。そこには、世にも美しい若者が立っていた。フォンも慌てて立ち上がる。


ホ・ヨンジェ邸。
ヨヌ「兄上が、世子侍講院へ?」
シン氏と刺繍をしながら話を聞いて驚くヨヌ。

ヨヌ「で、では、兄上が世子様の師匠になるのですか?」
シン氏「侍講院の文學になったのだから、そういうことね。」

ヨヌは動揺して針を指に刺してしまう。
ヨヌ「まさか、兄上の妹が私だということは、ご存じないわよね?」

こんな場面を思い出すヨヌ。
ヨヌ「私は、今回文科に首席合格した兄上の放榜礼に参列しに来ただけです。」


丕顯閣。
ヒョンソンはフォンに、師匠に礼をするよう申し上げるが、そんなことお構いなし。
フォン「今年で何歳になる?」
ヨム「*志學を過ぎて2年になります。」*志學:15歳
フォン「ではまだ17歳か?」
ヨム「さようでございます。」フォンはあきれ返った表情。
フォン「若いくせに、強力な後ろ盾が付いているようだな!」
ヨム、複雑な表情。



大妃殿。
新しい侍講官に、ユン氏派が一人も選ばれなかったことに怒る大妃ユン氏。
しかも新しい文學は、弘文館大提學の息子、ホ・ヨム。
今回の人事は、行く行くは朝廷から外戚を排除しようとする王様の宣布だ、
そして次期政局を見据えているのだと見抜く大妃ユン氏。


康寧殿。
茶を飲む成祖。

成祖「*不召之臣…」*不召之臣:君主とて勝手に呼び出せない臣下

成祖「師匠として学んだ後に臣下にすれば、苦労せず王業を成し遂げるだろう…
まして師匠であり友になる臣下とは…良いだろう、実に良い。 」
ハハハハと笑いながら、お茶を飲む成祖であった。


フォンの部屋。
新しい文學が17歳の若者だというのが気に入らないフォン。
フォン「父上は、僕をどうしようとして、あんな若造を?!」

ヒョンソンは、ホ・ヨムについて調べてきた。
ヒョンソン「あの者は文科の首席合格…」

お前の情報は、当てにならないからと聞きたがらないフォンだが、
今度ばかりは間違いありません!と言ってヒョンソンは続ける。

ヒョンソン「あの者の人気と名声は、成均館儒生時代からすでに凄かったそうです。
人物なら人物、学問なら学問、品性なら品性、何一つ欠点のない完璧な理想形で…」

回想。ヨムの成均館時代。
明倫堂で勉学に励む儒生達のもとに、急にどこかから光がせまってくる。
そこには、きらびやかに光るヨムがいた。
ヨム「ここ、空いているか?」
と言えば儒生達は、さーっとよけて、席を譲ってくれる。


ヒョンソン「成均館の大司成はもちろん、全儒生達の称賛と欽慕を一身に受けたし…」


回想。成均館の食堂。
一人一人お膳の前に一列に座っている儒生だが、一人だけ、ご飯が山盛りなヨム。


ヒョンソン「老若男女、身分、上下を問わず皆をひとつにする致命的な魅力の持ち主で、
別名‘魔性の*ソンビ’と呼ばれたが…」*ソンビ:善良で知識がある人。


回想。儒生達と通りを歩いてるヨム。
ヨムの美しさに卒倒する妓生達。
そこへ、ヨムを妬む者がやってきて難癖をつけるのだが…
振り向いたヨムの美しさに打ちのめされ、相棒になろうと言う程。


ヒョンソン「彼を妬んでいた者までも、彼の容貌と品性に嵌り、自ら友にしてくれと請うたそうです。」


フォンの部屋。
少しイライラしてきたフォン。
それでもヒョンソンは続ける。

ヒョンソン「それだけじゃなく、文学、政治、歴史、哲学、雑学に至るまで
関心を持たない分野がなく、すべてに神髄を極め、言うなれば勉強が一番容易いという超!天才!」

フォンの怒り爆発。
フォン「黙れ、黙れ!もういい!!顔も見たくないから、しばらくあっち向いてろ!」


ホ・ヨンジェ邸。
書冊を広げ、何か考え悩むヨム。そこへヨヌが訪ねてきた。

ヨヌ「兄上、ヨヌです。」
ヨム「あ、そうか、入ってまいれ。もう一緒に本を読む時間か。どれどれ~今日は何を読むんだったかな?
<史記>だったか、<*新説新語>だったかな…。」*新説新語:宋の劉義慶が書いた本。

ヨヌ「兄上のお顔、悩み事でいっぱいですよ。」
ヨム「そう見えるか?」
ヨヌ「もしや、宮殿で何かあったのですか?でなければ、もしかして…
世子様が兄上を悩ませているのですか?」

ヨム「違うよ。そんなことじゃない…ただ僕が世子様から、難しい課題をひとつ出されたようだな。」
ヨヌ「それは何ですか?教えてください。私も手伝います。」
ヨム「本当に手伝ってくれるのか?」ヨヌはうなずく。

ヨム「世子様は、僕のことを何か大きく誤解しているようなのだが、
閉ざされている世子様のお心をつかむ方法が分からない。」

ヨヌ「誤解ですか?」

ヨム「ただ誤解してるだけではないだろう。
若い私を師匠としなければならない世子様の心中は楽じゃないだろう。」

ヨヌ「兄上のせいではありません!それは…それは…」

ヨヌ心の声「私のせいかも知れません…」

ヨム「いやいや、僕が余計な心配させたな。心配するな。そのうち良い案が見つかるさ。」
ヨヌ「兄上…」
ヨム「うん。」
ヨヌ「兄上は世子様のお心を掴みたいのですよね?」
ヨム「方法があるのか?」


丕顯閣。
一人書冊を読んでいるフォン。
そしてフォンと向かい合って座り、黙ってフォンを見ているヨム。
沈黙の中、執拗に続く二人の気力の戦い。

ヨム「今日の講義はこれで終わりにいたします。」
フォン「実に破廉恥な奴だな。何一つ教えず国禄を無駄にするなんて、実に破廉恥ではないか。」
ヨム「世子様におかれましては、まだ講義に臨まれる準備が出来てないようなので…」
フォン「君の方が、まだ教える準備が出来てないんだろ。」
ヨム「では今日は講義の代わりに、私がなぞかけをひとつお出ししてもよろしいですか?」
フォン「なぞかけと言ったか?」

ヨム「さようでございます。万が一、世子様が正解なされば、世子様のお心に従い文學の座を退きます。
ですがもし、世子様が解くことが出来なければ…」

フォン「出来なかったら?」
ヨム「師匠に対する礼を尽くしていただき、学習に臨む姿勢を整えてくださいませ。」
フォン「取引しようって?いいだろう、言ってみろ。」

ヨム「ご用命なされたので、お尋ねいたします。
世の中の万物を一瞬にして明るくすることもでき、
世の中の万物を一瞬にして暗くすることもできるものは、何でございましょう?」

フォン「簡単すぎるんじゃないか?」
ヨム「そのように易しい問題ではありません。」
フォン「それは、君の考えだろ?」
ヨム「次の講義で、答えをお聞きできることを願っております。」
フォン「それと同時に、君と会うこともなくなるだろう。」


宮殿の一角。
中殿殿へ向かっているミナ王女(フォンの妹)なのだが、
両腕いっぱいに本を抱え東宮殿へ向かう内官達を見かけ、
ミン尚宮達をそこに残し、駆けていってしまう。



フォンの部屋。
内官達に持ってこさせた本を山積みにして、熱心に勉強中なフォン。
そこへ軽やかな足取りでやって来たミナ王女は、熱心に勉強しているフォンを見て驚く。
お前と遊んでる暇はないから帰れと言うフォン。
ヒョンソンから、例のなぞかけを聞いたミナ王女は、
答えは、まぶたじゃないの?という。


丕顯閣。
向かい合って座るフォンとヨム。
フォン「答えは、君主の政治だ。
中庸(四書のひとつ)によると、中和の道を実現すれば天地が本来の位置に戻って、
万物が順調に生長するそうだ。」

その頃、丕顯閣の外では、いつものように扉に耳を傾けて中の様子を伺っていたヒョンソン。
そこへ、ホ・ヨンジェ、ユン・デヒョンをはじめ官僚達を引き連れて成祖がいらっしゃった。
ヒョンソンに静かに!と言い、中から聞こえてくるフォンの声に耳を傾ける成祖。

フォン「君主が国を治めるにあたって、善と徳を尽くして満遍なく見回し、
偏りない調和を作り出せば天地万物、すなわち国民の人生が明るくなるだろう。
反対のことをした場合は、国民の人生が暗くなるだろうから…答えは君主の政治であろう!」
自信満々、意気揚々なフォン。

ヨム「恐れながら、私の答えとは異なります。」
フォン「今何と申した?正解じゃないと言ったか?」
ヨム「さようでございます。」
フォン「なら、答えは何だと言うんだ?!」
ヨム「答えは…」

その瞬間、興味深深な表情で耳をピンとたてる官僚達。
ヒョンソンはもちろん、階段の下に侍立していた護衛の者達まで全員聞き耳をたてて集中するが…

ヨム「まぶた、でございます。」
膝がガクっとなるヒョンソンと護衛達。

フォン「私をからかっているのか?」
ヨム「答えが世子様のお気に召さぬなら、ふざけていることになるのですか?」
フォン「な、何?」
ヨム「*經傳で答えを探せない問題は、程度が低いのですか?」*経傳:経書とその解釈書
フォン「なら、幼い子が言葉遊びしたような、それが、正解だと言うのか?!」
ヨム「幼い子供の目で見れば、世の中の万物すべてが問題に成り得ますし、
世の中の万物すべてが、その答えに成り得るのです!」

初めて見るヨムの強い態度にひるむフォン。

ヨム「学ぶことにおいて、最も警戒しなければならない二種類がございます。
一つは正解を知っていると己惚れる‘傲慢’、
もう一つは自分のものさしだけで物事を判断する‘偏見’でございます!
その傲慢と偏見が、世子様の目と心、すべてを曇らせていることを悟らなければなりません!」

その頃、丕顯閣の外にいたホ・ヨンジェは息子ホ・ヨムの無礼に「恐れ入ります…殿下。」
成祖は、シッと言って静かにさせる。

ヨム「君主の政治とおっしゃいましたか?誠に正しいお言葉です。
しかし、まぶたを強く閉じたまま、どうやって国民達の人生を見回し、
どうやって帝王の道を論じるのですか。まずは学習に臨む姿勢から正して下さい!」

しばし二人は睨み合いを続ける。
暴風前夜のような緊張感の中に流れる重い沈黙。
フォンは拳を握り締め立ち上がる。

フォン「誰かいるか!」
入って来たヒョンソンにフォンは言う。

フォン「生果房に*茶菓床を準備するよう伝えよ!」*茶菓床:食事以外の時間に客人に出す茶と菓子の膳

驚くヒョンソンにフォンは
フォン「講義を終えたら師匠と軽く談笑でもして、師弟の情をちょっと深めなければならない。」

今度こそは、新しい文學を受け入れてくれたと喜ぶヒョンソン。そして…

フォン「今日、文學に相見して師匠に対する礼を上げ、教えを求めようと思うから、
これまでの無礼を忘れて、ぜひ挨拶を受けて下さい。」と、ヨムに一礼する。

ヨムも立ち上がり、フォンに一礼した。

そんな二人の様子を丕顯閣の外で伺っていた成祖は微笑み、

成祖「今日やっと、世子が認める師匠に会えたようだな。」

ホ・ヨンジェは、恐れ入った表情、ユン・デヒョンは不機嫌な表情。


ミナ王女の部屋。
ミナ王女の笑い声が響く。
兄であるフォンが、侍講院の文學に白旗を挙げたと知るや、高笑いのミナ王女。
そんな文學の顔を一度見てみたい、
そして自分は文學の出したなぞかけに正解したことも教えなくっちゃ~と
丕顯閣へ駆け出す。
丕顯閣の前まで来ると、中からフォンとヨムが談笑しながら出てきた。
ヨムの自己発光効果である笑顔を見たミナ王女は、顔を赤らめて木の陰に身を隠す。
胸がドキドキ、顔がほころび…突然訪れたミナ王女の初恋だ!


亭子。
きれいな色の茶とキラキラきれいな茶食、油菓、黒飴などが置かれている
清潔な茶菓床。その前に向かい合って座ったヨムとフォン。

フォン「ひとつ気になったことがあります。」
ヨム「お尋ねください。」
フォン「もし私が正解していたら、本当に文學の座を退くつもりでしたか?」
ヨム「その位の覚悟はしておりました。」
フォン「年齢のせいだけかと思ったが、見た目より度胸がありますね。」
ヨム「実は、私の妹が勇気をくれました。」

回想。ホ・ヨンジェ邸 ヨムの部屋。
ヨヌ「気に入るようにふるまえば、得られない心はありません。
世子様の学習態度が多少放漫でも、適当に合格点をつければ良いでしょう。」

ヨム「そんな簡単な方法があったのか。」
ヨヌ「ですが、お世辞で得た心など、たかがしれています。
真心で得た心でなければ、意味がありませんよね?」

ヨム「それもまた然り。」
ヨヌ「奸臣になることは簡単で、忠臣になることは難しいけれど、
何が真に世子様のための道なのかを、まず考えてみるべきではないでしょうか?」

ヨム「奸臣になって偽りの心を得るか、忠臣になって諌めるか…そういうことか?」

ヨヌ「世子様は賢明な方です。今は兄上を誤解しておられるけれど、
いつかは兄上の真心を認めて下さいます。だから頑張ってください、兄上!」

現実。亭子。
フォン「実に賢い妹さんですね。妹さんは今年何歳ですか?」
ヨム「13歳です。」
フォン「13歳?では、妹さんに悩みを相談するのですか?」
ヒョンソン「世子様、お茶が冷めます。香りがなくなる前にお召し上がりください。」
フォン「お…そうか。ホ文學もどうぞ。」
ヨムが徐に黒飴を頂戴しようとすると、フォンはそれを奪い取る。

フォン「では、今日私を叱ったのは、ホ文學ではなく、ホ文學の妹さんではないか?」
ヨム「そ、そうとも言えますが…」
フォン「では、この貴重な飴を食べる資格もまた、妹さんにあるのではないか?」
ヨム「え?」
フォン「ヒョンソン、この黒飴を包んで来い。ここにいるホ文學ではなく、
隠れている私の師匠に贈らなければ。」
ヨムは笑った。


東宮殿。
茶果会を終え、東宮殿に戻ったフォン。
部屋に向かうが、ふと歩みを止め、首をかしげヒョンソンに話しかける。

フォン「わずか13歳の女子があんなしっかりしたことを言うなんて信じられるか?」
ヒョンソン「ホ文學の妹君ならそれも可能かと。ホ文學もやはり、わずか17歳で首席合格した*間世之材。」
*間世之材:ごく稀な人材

フォン「今何と申した?ホ文學が首席合格だったと?いつ合格したのだ?」
ヒョンソン「今回の文科で…」

フォンはピーン!ときた。

回想。
ヨヌ「私は今回の文科で首席合格した兄の放榜礼に参列しに来ただけです。」

現実。
ホ文學の妹とは、ヨヌだった!!!

フォン「その話をなぜ今頃言うんだ?!」

ヒョンソンは、自分は言おうとしたが、世子様が黙れ、お前の情報は当てにならない、
と言うから話せなかったと言うのだが…。
フォンは、今の話さえもすでに耳に入らない。

あの娘がヨムの妹だったのか…
どことなく嬉しくてドキドキする表情のフォン。


ホ・ヨンジェ邸。
驚いた表情で、ヨムが差し出した黒飴を見ているヨヌ。

ヨヌ「せ…世子様から?」
ヨム「そうだ。褒美の代わりだと言ってくださった。」
ヨヌ「褒美なら兄上のものでしょ?なのにどうして私に…」

ヨム「(ちょっと申し訳ない表情で)それが…私が世子様に諫言申し上げることが出来るよう
勇気をくれたのは、そなただったと話してしまったのだ。」

ヨヌ「えぇ!そ、それで?」
ヨム「真の師匠は私ではなく、そなただと言って準備してくださったのだ。」
ヨヌ「他には何もおっしゃらなかった?」
ヨム「そうだな…特には…」その言葉に安心するヨヌ。
ヨム「あ、なぞかけも、そなたの考えかとお尋ねになってた。」
ヨヌ「なぞかけですか?!」
ヨム「そ、そうだ。実は私が世子様に、なぞかけをひとつ申し上げたんだよ。」
ヨヌ「あ、はい…」
ヨム「だが、さっきから何をそんなに慌ててるんだ?」
ヨヌ「え?何でもないです。」


ホ・ヨンジェ邸 庭。
竹筒を持ったまま立ち尽くしているヨヌ。
どこかから飛んでくる花びら…

フォン「私が出したなぞかけは、解けたか?」
驚くヨヌ。まるでファンタジーのように、ヨヌの横で笑顔を浮かべているフォン。

ヨヌ「本当に…世子様ですか?」
フォン「そうだな…どうだと思う?」
ヨヌ「私は…そうでないことを願います。」
フォン「(ヨヌが手に持っている飴を見て)食べてみろ。」

蓋を開けて口に入れてみるヨヌ。

フォン「味はどうだ?」
ヨヌ「とっても甘いです。これを私に下さったのは…私をお許しになったということですか?」
フォンは微笑むだけ。

ヨヌ「でなければ、私を怖がらせようとしているのですか?」
フォンは微笑むだけ。

ヨヌ「おっしゃってください…どういう意味なのか…」
そう言って見て見ると、すでにいなくなっていたフォン。
フォンのいた場所を眺めるヨヌ。
手にはさっき舞っていた花びら。



妓楼。
高官達も出入りする派手な規模の妓楼。

ユン・スチャン「功臣をこのように冷遇してはならないのです!」

ユン・スチャン、ハン・ジェギル、シム・サン。
同じ派の官僚達と共に酒を酌み交わすユン・デヒョン。
今の王様があるのは、大妃様と吏判様(ユン・デヒョン)のおかげなのに、
その恩も忘れ、この度の侍講院の人事はどういうことだ!
まさしく、将来の次期政局の在り方を見据えての殿下のご意志の表れである。
あの者が大提学の席に座ってからというもの、言官達が自分の主張をし始め、
勲戚臣を弾劾する上訴がたくさん便殿に上がっている。
まずは、自分の息子を文學に就けたホ・ヨンジェから排除するべきだ!
と怒り心頭の3人に、そう急がず、時期を待とう…と諭すユン・デヒョン。


ユン・デヒョン邸。
ひと目見ただけで、蓄財と権力の跡が見える豪勢な邸宅。
酒に酔って帰ってくるユン・デヒョン。
庭でユン・デヒョンを迎えるキム氏(ユン・デヒョンの妻)とポギョン。
酔っ払いながら、娘ボギョンに尋ねるユン・デヒョン。

ユン・デヒョン「そなた、一度宮殿を見学してみるか?
望むなら、そこで暮らせるようにしてやることも出来るぞ。」

ユン・デヒョン心の声「*府院君か…」と意味深な笑みを浮かべる。
*府院君:王妃の実父に与えられる爵号。


市場。
様々な店があり活気溢れる通り。
ヨヌは紙屋で熱心に詩箋紙を選んでいる。

ソル(ヨヌの侍女)「なぜ急にそんなものが必要なのですか?手紙でも書くんですか?」
ヨヌ「手紙でなくて、反省文。」
ソル「反省は、そんな高い紙に書かないで、面と向かって謝ればいいんですよ。」
ヨヌ「そう簡単に会えない方だから。」
ソル「上監様(王様)とか東宮様(世子様)ですか?」と言うソルの言葉に、身の縮むヨヌ。
ソル「ただ口で言った方が…もしくは鞭に打たれる覚悟で立ち向かうか。」
ヨヌ「私が鞭に打たれるのはいいけれど、もしかして兄上に被害が行くかと心配で…」

遠くから鍛冶屋の音がする。目を輝かせるソル。
ソル「すみません、お嬢様。あっちの鍛冶屋へちょっと行って来ます。ちょっとだけ!」

詩箋紙を選んでるヨヌの所に…
ヤンミョン「お二人に何か悪いことでもしたのか?」振り返ると、そこにヤンミョンがいた。
ヤンミョン、いつの間に来たのか~にっこり笑う。



小間物屋近くの市場通り。
鍛冶屋に向かって走っているソル。
角にさしかかり、ポギョンと肩を強くぶつけてしまう。
地面に尻もちをつくように倒れるポギョンとソル。
乳母はソルに声をあげるが、周りの人の視線を気にしたボギョンは、
大丈夫、何か急用があったのでしょう、早く行きなさい、と言って
ソルを行かせる…が、その表情は、何!あの子!という表情。


小間物屋に入るボギョンと乳母。
注文していた*ノリゲを受け取りに来た。*ノリゲ:婦人のチョゴリの紐や帯に飾る装身具。
が、支払いをしようとすると乳母のお金の入った巾着がない!
乳母は慌てて探しに行くが…実はさっきまで乳母が立っていた場所に落ちていた。
それを見つけたボギョンは、こっそり自分の袖に忍ばせるのだった。


鍛冶屋。
炉の中で燃え上がる火。その中から取り出される真っ赤な鉄の塊。
鍛練されていく鉄の塊をうっとりと眺めているソル。
突然後ろから首根っこをつかまれ、頬をぴしゃりと叩かれ地面に倒れるソル。
ボギョンの乳母である。
ソルが自分の巾着を盗んだと決め付け、取り戻しに来たのだが…
そこへボギョンが現れ、人目の多いところで一体何事だ?と叱る。
ソルはボギョンの足元にしがみつき、自分は盗んでない!信じてください!と訴える。
そんなソルにボギョンは、では自分が泥棒でないことを証明してみなさい、
と言うのであった。


紙屋。
詩箋紙を選ぶヨヌの横で、ああしろこうしろとおせっかいなヤンミョン。

ヤンミョン「草花紙はやめておけ。反省文に花模様は必要ないだろ?
王様には、いっそのこと無難に*四君子が描かれた詩箋紙が…」
*四君子:東洋画で梅、菊、蘭、竹の称。

ヨヌ「王様じゃないのに、なぜしきりにそう言うのですか?!」
ヤンミョン「なら、世子様か?」一瞬ドキっとするヨヌ。

ヤンミョン「おぉ?どうやら世子様のようだな。ならちょうど良い。
私は世子様の兄だろ?世子様の好みは…どれどれ~。ところで、何をしでかして反省文なんか書くんだ?」

と言ってヨヌの方をみると、すでに向こうへ行っていたヨヌ。
フフッと笑って後を追うヤンミョン。


気がつくと雨が降ってきた。
雨宿りに走るヨヌの頭上を覆うように誰かの道袍!
気付けば、ヨヌの手を握って雨の中駆け出すヤンミョン。


温室。
雨に濡れ温室に駆け込むヤンミョンとヨヌ。
目の前に広がる草木、盆栽、野菜、花の光景に驚くヨヌ。

ヨヌ「ここは温室では?」
ヤンミョン「おぉ知ってるのか?」

ヨヌ「本で見ただけですが、実際に見るのは初めてです。
あの窓は、油を引いた韓紙を使ってますね?陽は入るけれど風は通さない原理でしょ?
これ育てたのですか?」

ヤンミョン「王の親戚に草花に夢中な人間が一人いるんだが、どうせ出仕も出来ないことだし、
宗學へ行ったところで何をしようかとブツブツ言いながら過ごし、
結局金をつぎ込んでこの温室を作ったんだそうだ。」

ヨヌはこんなシーンを思い出す。
フォン「僕の兄さんが、そう生きるしかなかったのは…全部僕のせいだ。
父上の監視が怖いのか、兄さんは久しく僕を訪ねてこない。」

現実。
ヤンミョン「おかげで、たまにここを借りて使ったりしてる。
濡れた服を乾かすにはもってこいの場所だろ。」

ヨヌ「ヤンミョン君も、久しく宗學に行ってないと聞きました。」

ヤンミョン「さぁこれはどうだ?菊は、王様が唯一お楽しみになる花だから、
各種宴会の度に必ず装飾される。この程度なら反省文の代わりになるんじゃないか?」

ヨヌ「王様は、どんな方ですか?どんなお方か気になります。」

ヤンミョン「そうだな…どんな方だと言うべきか…王様は…
太陽と月のように明るい生命を持たれた方だ。
いつも民と*宗廟社稷の安全と危機のために熟考されている。」
*宗廟社稷:王室と国を共に表す言葉、国家

そう言ってヤンミョンはある場面を思い出す。

回想。便殿。
幼いヤンミョン(10歳)に対して大學を放り投げる成祖。
成祖「実に生意気だな!一介の王子に過ぎないお前が、
何の意図で敢えて帝王の学問である大學を学ぶのだ?!」

現実。温室。
ヤンミョン「刃のような厳格さをお持ちたが、一方では大変慈愛深いお方だ。」

ヤンミョンはまた、ある場面を思い出す。

回想。便殿。
成祖「おぉ世子が来たか。」6人の師匠を率いて便殿に入る幼いフォン(8歳)
王に礼をして、ヤンミョンに向かってにっこり笑う。

成祖「世子が短い時間で小学を終えたと聞きました。
世子をよく教えた*春坊と*桂坊の管理、皆に褒美をやらねばな!ハハハ!」
*春坊:世子侍講院の別称
*桂坊:世子翊衛司の別称

現実。温室。
幼い頃を思い出し、知らず知らず悲しそうな表情になるが、我に返るヤンミョン。
ヤンミョン「まぁとにかく、立派なお方だ。」
ヨヌ「宮殿には、行かないのですか?旅から戻ってからずっと、家に篭っていると聞きました。」
ヤンミョン「ヨムの指図か?」
ヨヌ「違います。ただヤンミョン君を待ってらっしゃるようで…」
ヤンミョン「誰が私を待っているのだ?」
ヨヌ「世子さ、あ、いえ、王様もお待ちだし世子様も…」
ヤンミョン「お忙しい方々だから、私を待つ時間なんてないさ。」
ヨヌ「お待ちです!」ヤンミョンは驚く。

ヨヌ「詩を詠めるお方が、懐かしさが何かも分からないのですか?
染み入れば病にまでなるのが懐かしさです。どれ程!」
ここまで言って心の中でこうつぶやくヨヌ。

ヨヌ心の声「待ちわびていることか…でなければ世子様のご身分で塀越えなど試みるでしょうか。」

ヤンミョン「なら、たびたび塀越えをする私の心も…理解してくれてるんだな?」
ヨヌ「それとこれとは、まったく別の…」
ヤンミョン「(ヨヌに顔を近付けて)どう違うんだ?」
ヨヌ「と、とにかく!一日でも早く入宮なさってご機嫌伺いのご挨拶をしてあげてください。」
笑うヤンミョン。

ヨヌ「人が真面目に言ってるのに、どうして笑うのですか?」
ヤンミョン「久しぶりだな…お前が私をじっと見て、こうして長く話すのは。忠告はありがたいが…」
と、ヨヌのおでこをコンとたたいて
ヤンミョン「自分のことでも、しっかりやれ。」フフッと笑ってわざと伸びをするヤンミョン。


ユン・デヒョン邸。
捕えられ、連れてこられ地面に倒れこむソル。
かなりやられたように、顔は傷だらけ、髪はボサボサ、服もボロボロなソル。

乳母はソルに、お前の主人は誰か問い詰めるが、黙っているソル。
そんな騒動の中、ボギョンはソル達には目もくれず書冊を読んでいる。
視線は書冊に落としたまま、ボギョンはこう言った。

ボギョン「だからちゃんと目を開けて歩かなくちゃ。
私が一番お気に入りの服を汚して無事だと思ったら大間違いよ…」


鍛冶屋。
鍛冶屋の店主から、ヨヌが吏判大監(ユン・デヒョン)邸の乳母の物を盗み、
連れて行かれたという話を聞いて、驚くヨヌとヤンミョン。


ユン・デヒョン邸。
引き続き乳母がソルを問い詰めていると…
召使が乳母の耳元に何かささやき、乳母の顔が青ざめる。
「ソル!」ヨヌが来たのだ。

ソルの体を心配するヨヌ達の声を聞き、何事か?と縁側に立ち上がるボギョン。
丁重に頭を下げるヨヌ。

ヨヌ「失礼します。私は弘文館 大提學の娘、ホ・ヨヌと申します。
私の侍女がお嬢様の巾着を盗んだと聞きました。何か誤解があったと思うのですが…」

ボギョンは家僕達に向かって言った。
ボギョン「これはどういうこと?真相を調べなさいとは言ったが、
誰がこんなに鞭打ちをしろと言った?!」

家僕達は、もともとボギョンの命令でソルを痛めつけたのだが…
ヨヌの前では、誰の仕業か?と白を切るボギョン。
そして、そんなボギョンの性格を知ってか、
自分の怒りが治まらなくてつい…とかばう乳母。
ボギョンは、ヨヌの前に来て言った。

ボギョン「家僕達の無礼をお許しください、身分の低い者達の扱いは、容易ではありませんね。
ですが、手癖は簡単に直らないから、もっと大きい泥棒になる前に
売ってしまった方が良いですよ。」

ヨヌは、ぐっとこらえて
ヨヌ「いずれにせよ、無くなったお金は私が弁償…」
ボギョン「そうする必要はありません。私どももまた、
そちらのお宅の財産にキズをつけたので、双方なかったことにしましょう。」

ヨヌはこれ以上我慢できず言い放った。

ヨヌ「お嬢様、この子は売り物ではなくて、私の友であり家族のような子です。
私は、人間には身分の差がなくても、人格には身分の差があると思います。
お嬢様が失くしたお金がいかほどか分かりませんが、今日、
この子の心についた傷と比べものになりますか?」

ボギョン「何…ですって?」
ヨヌ「では、お許しくださったと思って、連れて行きます。行こう、ソル。」
ボギョンは、何も言い返すことが出来なかった。


丕顯閣。
机の上に丁寧に置かれた一通の手紙と*竹筒。
(*フォンが黒飴を入れて贈った竹筒に、土を入れ植木鉢にしたもの)

ヨム「黒飴を贈ってくださったお礼に、私の妹からの贈り物です。」

フォンの表情は一瞬にして明るくなり
フォン「植木鉢のようだが、何を植えたのです?」

ヨム「それは私もよく分かりません。
知り合いの方の温室から持ってきた種のようですが、
オンドルで育てれば、温室効果がある、と申しておりました。」

嬉しそうに植木鉢を眺めるフォン。

ヨム「さぁでは、講義を始めま…」
フォン「ホ文學の妹さんは、どんな人ですか?」
ヨム「え?」

フォン「ホ文學の悩みを聞いてくれて、その解決策まで出してくれるのだから、
聡明な妹さんであることは明らかですが…いったいどんな人なのですか?」

ヨム「世子様、講義に臨む時間です。」
フォン「兄と妹の仲がとても良さそうに見えて、うらやましかったからです。」
ヨム「夕方になれば妹と共に本を読み、あれこれ話をする機会が多いので…」
フォン「妹さんと一緒に読書するのですか?」

ヨム「さようでございます。幼い頃から、適当に勉強してる人達よりも本を楽しんで読む子なので、
私もやはり教えられる点が多いです。」

驚いてばかりのフォン。

フォン「では、私の妹のミナ王女とは、天と地ほどの違いだな。
妹が知ってる文字と言ったら、空、天くらいしかない上に、どんなにわがままであるか…」
と言った瞬間、泣き声と共に扉が開き、幼い女官の姿で乱入してきたミナ王女。
に驚くフォンとヨム。

初恋相手であるヨムに、わがままな妹だと伝えたフォンを憎いと訴えるミナ王女。
ヨムは、この状況をどうしたらいいのか慌てていると、
ミナ王女は突然近づいてきて、両手でヨムの顔を包む。そしてこう言う。

ミナ王女「世子様の言ったことは全部嘘です!私はわがままじゃなくて、
静粛な女性なの!千字文も全部習うから!」

ヨム「分かりました。王女様のおっしゃりたいことはよく分かったので。」

そう言って、ミナ王女の手を自分の顔から離して…
ヨム「もうその位でお怒りを収めて下さい。そうしないと、きれいなお顔が崩れてしまいますよ。」
ミナ王女「わ、私の顔がきれいだと?!!!私が本当にきれいなの?」

すると、血相を変えて駆けつけたミン尚宮と女官達が、
すばやくミナ王女を部屋から引っぱり出し…
ひとしきり暴風雨が過ぎ去って行ったかのように、戸惑うフォンとヨムだった。


フォンの部屋。
ゆっくりとヨヌの手紙を開くフォン。
そばに立っているヒョンソンまで一緒に緊張。
詩箋紙に書かれたヨヌの清潔できれいな字に驚くフォン。

フォン「この字を見てみろ、ヒョンソン。これが13歳の女子の手並みだというのか?」

ヒョンソン「漢字を知ってる女性も珍しく、このような字も珍しい。
ところで、どんな内容なのですか?」
するとヒョンソンをジロっ!とにらみ、見るなと目で言うフォン。

きれいな花模様の詩箋紙に一編の詩が記されている。

フォン「イ・ギュボの詩だな。」


ホ・ヨンジェ邸。
花木を煮詰めた染料液が入った水盤に、白い韓紙を漬けるヨヌと手伝うソル。
赤く染まった詩箋紙を見て、微笑を浮かべるヨヌとソル。
そう!二人は今、フォンに詩をしたためた詩箋紙を作っている。

フォンに贈ったのは、こんな詩だった。
ヨヌ心の声「山に住む僧侶が月明かりを欲しがり、月明かりを水差しに浮かばせている。
寺に行って今や悟るだろう。水差しが傾けば、月明かりもなくなるということを。」

染まった韓紙を洗濯紐に干す二人。様々な色に染まった詩箋紙が風に舞う。

押し花でいっぱいのヨヌの部屋。

ヨヌ心の声「むさぼる月明かりさえ、思いのまま手に入らないのに
愚かな少女の過ちを、心に留めてどうするおつもりですか?
隠月閣での事は、どうか忘れて下さい。反省しています。」

心を込めて手作りした詩箋紙の上に、一文字一文字心を込めて詩をしたためるヨヌ。


フォンの部屋。
ヨヌからの手紙を読み微笑むフォン。

フォン「私が出したなぞかけを解いたようだな。
忘れてくれ…?聡明だと思っていたが、そうでもないな…」

フォン心の声「(竹筒の植木鉢を見ながら)私が…お前を忘れられる訳がない…」


宮殿の一角。
便殿に向かって走るミナ王女、それを追うミン尚宮。
ミナ王女「お父上~!」と成祖に駆け寄るミナ王女。
顔がほころぶ成祖。「おぉミナ王女か~!」

ミナ王女「お父上、今日もお体変わりありませんか?」
成祖「ミナ王女に会えば、病も吹き飛ぶさ。ところで、王女が便殿までどうしたのだ?」
ミナ王女「お父上、私も字を習いたいのです。」
成祖「お?王女が文字の勉強に興味がわいたのか?」
ミナ王女「はい!私も世子様の師匠に字を学びたいのです。」
成祖「ホ文學にか?」
ミナ王女「はい!」
成祖「それはならん。」
ミナ王女「どうして…ですか?」
成祖「あれは世子の師匠だ。王女が世子の師匠に学ぶことは…」
ミナ王女「嫌です。私はホ文學から習うのです!」
成祖「こら!ダメだと言っただろ!駄々をこねていい事と悪い事がある!」
結局、泣きながら立ち去るミナ王女。
ミン尚宮「も、申し訳ございません。」


便殿。
*經筵のために集まっている大臣たちと成祖。
*經筵:君主が学問や技術について臣下らと国政を協議すること。

成祖「*礼童と言ったか?」
*礼童:元子(王の長男)の社会教育のため官僚の子弟達の中から選抜された同じ年頃の友。

ユン・デヒョン「さようでございます。元子のために陪童を置いたように、
ミナ王女様のためにも共に一緒に遊んで勉強する同年代の友が必要かと思われます。
ですので、官僚の娘の中から品行丹精で英明な娘を選抜し、
礼童として入らせるのはいかがでしょうか…」

成祖「本来、陪童は元子のためにだけ入れるもの、前例にはないが、
ミナ王女の礼法のために礼童を入れるのも悪くはないだろう。」

そしてわざと、ユン・デヒョンを見ながら、
成祖「では、推薦するほどの娘はいるのか?」
ユン・スチャン「年頃でも品行面でも、吏判大監の娘がふさわしいかと思います。」

成祖は一瞬フッとあざ笑い、
成祖「吏判の娘か…それもいいか。ならば、大提學の娘も共に礼童として入れるのはどうだ?」

ホ大提學は、思いもよらぬ事に驚き、ユン・デヒョンの表情は固まったのであった。


ホ・ヨンジェ邸 ヨヌの部屋。
驚いた表情のヨヌ。

ヨヌ「ミナ王女様の…礼童?」

ホ・ヨンジェ「そうだ。3日に一度入宮して王女様の友になって差し上げて、
中殿様から教育も受けて…やってみるか?」

ヨヌ「入宮ですか?」
ホ・ヨンジェ「嫌か?」
ヨヌ「そうではなくて…」
ホ・ヨンジェ「気乗りしなければ言いなさい。父さんが王様に申し上げてみるから。」

心配そうな表情で空を見上げているホ・ヨンジェ。
シン氏「入ってお休みください。どうしたのです?ヨヌが礼童をやらないと?」
ホ・ヨンジェ「やると言ったよ。」
シン氏「なのにどうしてです?」

ホ・ヨンジェ「宮殿の中は…一歩歩くことさえも左右を見回して慎重を期さねばならない所だ。
そういうところに、私達の子供が二人も入ることになろうとは…心中穏やかではなくてな。」

シン氏「ただ王女様の友になってあげるだけではないのですか。」
ホ・ヨンジェ「名分や黒幕なしでは、どんなことも進まない所だ。」
シン氏「礼童を入れる背後に、黒幕でもいるということですか?
無駄な心配ですよ。政治が何かも分からない子供じゃないの。」

ホ・ヨンジェ「どうしたことか…嬉しくないんだ。」
ホ・ヨンジェ「喜ばしくない…」
シン氏「ヨヌは高貴な運命を持って産まれたそうなの。命を賭けて守ってくれると言われたわ。」
ホ・ヨンジェ「誰が?」
シン氏「いるのよ、そういう人が。だから心配しないで、入ってお休みください。」


都の山中。
月明かりの下、孤独に立っている石墓。
その石墓を悲しい表情で積んでいるのは、ノギョンだった!

ノギョン「アリ…元気にしてる?しばらく来れなくて悪かったわ。」

回想。
アリ「私の命はここまで。あなたは生きて、生きて私の代わりにその子を守ってあげて。」

現実。
ノギョン「言って、アリ…私が守るべきその子が誰なのか…」


大妃殿。
中殿ハン氏「ミナ王女は、どうしてあんなに分別がないのか心配です。」
大妃ユン氏「心配しないで下さい。官吏達の娘らと交流すれば、王女も何か感じることがあるでしょう。」
尚宮「大妃様、星宿庁の国巫が先程、都城に到着したという知らせがありました。」
大妃「おぉそうか。急いで戻ったようだな。」
中殿「星宿庁の国巫と言ったら、*松嶽で祈恩を離れたチャン氏のことですか?」
*松嶽:開城の昔の名前

大妃「礼童になる子供達の観相を見ようかと呼んだのです。」
中殿「礼童達の観相をなぜ…」
大妃「どっちみち宮殿に入る子供達ではないですか?慎重を期さねばなりません。
ひょっとして、その中から世子のお相手になる子がいるかも分からぬ。
これからは中殿の役割が大きいのです。」


都の一角。
都の中に入る派手な御輿一台。
その御輿の前後を20人近い随従巫女達が付いて歩いている。
一帯を壮観に演出する派手な行列に、通り過ぎた人々が歩みを止めて見物する。
行列の終わりにくっついて歩くチャンシル!
御輿の窓を開け、外に広がる都城の風景を眺めるノギョンの顔。


宮殿前。
御輿を降り宮殿に向かうノギョンの前に別の御輿が一台、止まる。
歩みを止めて何気なく御輿を見るノギョン。中から降りてきたのはヨヌ!
ノギョンは、ヨヌをひと目見た瞬間、表情がこわばる。そしてアリの言葉を思い出す。

アリ「太陽の近くにいれば、滅族の災いを被ることになり、太陽のそばをただ守るだけ
という運命の子だ。その子が無事でいられるよう、あなたが守ってあげて。」

まさか…この子か?!衝撃で呆然とヨヌを眺めるノギョンだが…
そこへ、また別の御輿が到着。
中から降りて来たのはボギョン!
ボギョンを見た瞬間、また再び表情がこわばるノギョン。
ヨヌとボギョンは、お互い顔を見合わせる。
そんな二人の様子を見てノギョンは…不吉な表情を浮かべる。

ノギョン「二つの月…」


レビュー作成:ILWOOSTORY Japanスタッフ pomu

Theme:チョン・イル  Category:太陽を抱く月<レビュー&予告>  Comment:0  Trackback:0  Top

Comment

Name
Mail
URL
Title
Message

Pass
 ※空欄でも構いません。投稿後に訂正・削除したい方のみ、任意のパスワードを設定して下さい
Secret
 ※こちらにチェックされますと、管理者のみ閲覧可のコメントとなります

Top

Trackback

Trackback URL

Top

Twitter

Twitterでもどんどんイル君の最新情報をお届けしています。Twitterご利用の方は是非フォローして下さい^^

利用案内

ILWOOSTORY Japan はチョン・イル君を応援するファンカフェです。皆さん楽しく仲良く、イル君を応援しましょう♪

~イル君ってどんな人?~
基本情報は「こちら」をご覧下さい^^

~<限定公開>記事を閲覧希望~
こちら」で申請方法をご確認下さい。

ILWOOSTORY Japan 企画

ON AIR/GyaO

<ヘチ>
6/19(水)~
衛星劇場
毎週水曜日PM11:00~ 2話連続放送

<夜警日誌>
4/26(金)~
テレ朝チャンネル
放送時間の詳細はHPにてご確認下さい

※放送局名より番組サイトへ飛びます。急な放送時間変更等、各自ご確認下さい。

カテゴリ

タグリスト

translation

リンク

FC2ブログランキング

ブログランキング参加中です♪
イル君のよさをもっともっとお伝えするために、ご協力お願いします~(ぺこり)

FC2ブログランキング

FC2 Blog Ranking

最近の記事+コメント

プロフィール

ILWOOSTORY Japan

Author:ILWOOSTORY Japan
2007年10月から韓国俳優チョン・イル君を応援している日本ファンカフェです♪
2009年8月より韓国公式カフェ「ILWOOSTORY」承認のもと、日本支部として活動しています^^

~ILWOOSTORY Japan スタッフ~
管理人:miai
スタッフ:momo , pomu

※当ブログで使用している画像等は、個人で楽しむことを目的とし、権利を損害する使用目的ではありません。
著作権・肖像権は画像元である各サイト・所属事務所等にあります。

※当サイト内の文章及び画像を無断転載・二次加工(ロゴの削除等含む)することを禁じます。外部サイトへ持ち出す場合は、記事そのものをURL及び記事名付きで紹介して下さい。

※記事に無関係・不適切と思われるコメントやTBは管理人の判断で削除or移動させて頂く場合がございます。

※Windows7/IE8.0/Firefox3で動作確認しています。

バナー

当サイトはリンクフリーです。
ご自由にどうぞ^^
イル君関連サイト様でしたら、是非遊びに行きますのでご一報下さいね♪
Loving ILWOO バナー
Loving ILWOO バナー
「ILWOOSTORY Japan」
お好きな方をお持ち帰り下さい^^

Banner design:彼誰屋

mail

スタッフや当カフェへのご要望・ご意見がある方は、こちらからメールを送って下さい♪ イル君に関する情報提供など、どこにコメントしていいのか分からないものなどもメールにてお知らせ下さい。

お名前:
メール:
タイトル:
本文:

※チョン・イル君出演番組の個人的なダビング依頼等は、皆様平等にお断りさせて頂きます。 出来る限り当サイトにてご紹介しますので、ご理解の程宜しくお願い致します

※当サイトスタッフは、チョン・イル君の日本公式FCの運営には全く関わっておりません。公式FCへのお問合せは、FC事務局へお願い致します

ブログ内検索

FC2カウンター

月別アーカイブ

月別アーカイブ

RSSフィード

Copyright © チョン・イル日本ファンカフェ『ILWOOSTORY Japan』 All Rights Reserved.

Designed by Flug / Admin